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2021年9月10日のブログ
「ねこ藩城下の猫たち:(15)ポッちゃんのいない庭(3)」
https://nekohan.jp/archives/13543
逝っちゃったね、ポッちゃん。
家人と並んで、少しの間だけ、
ケージの前に座ってポッちゃんを見ていました。
その後すぐに、私は黙々とポッちゃんを送り出す準備を始めました。
もっと長い時間その場に座り込み、ポッちゃんを眺めることも出来たはずですが、
私は敢えて事務的に動き出しました。悲しみに浸りたくなかったのです。
ポッちゃんを箱におさめ、飼ってきたお花で飾ると、
クリーンセンターに連絡をしました。
そして、ポッちゃんをあたたかい目で見守って、
時々ご飯をあげて下さっていた両隣の住人を呼びに行きました。
きれいに飾られて横たわるポッちゃんの姿に
Nおばさまは声を詰まらせていました。
あの後、すぐに病院に行ったから、
H(私)さんの家でお薬飲んで元気になって、
また庭に戻ってくると思ってた。可哀そうに。
びっこをひいて一生懸命生きていたのに・・・。
Tさんは、鼻をすすりながら、
「これ、最後のご飯に。」と、
キャットフードを箱に入れて下さいました。
皆さんに見送られて、家人の運転する車で
クリーンセンターに向かいました。
受付を済ませて、箱入りポッちゃんを抱きかかえ、
小動物火葬場に向かって歩いている時に、
突然悲しみの嵐が襲ってきました。
この体は、ポッちゃんが猫として生きて来た時の器のようなもの。
ポッちゃんはもうこの体の中にいないんだ。
ポッちゃんが息を引き取る前に、
ぼんやりとそう考えもしましたが、
違う、そうじゃないんだ。
焼いてしまったら、
もうポッちゃんをこの目で見ることが出来なくなる。
ここで、本当にお別れなんだ。
もうどんなに願ってもポッちゃんには会えない。
こんな泣き方はいったい何時以来だろうか。
家庭から持ち込むゴミを積んだ車の列の横を歩きながら、
人目もはばからず、しゃくり上げて号泣していました。
さよなら、ポッちゃん、さよなら。
保護猫の預かりを引き受けて下さる仲間のKさんからいただいたお花と。
ポッちゃんの遺骨を引き取りに
クリーンセンターを再訪したのは
それから1週間後のことです。
センターでは骨格標本のように、
きちんと骨を整えて並べた形で、
火葬後の姿を見せて下さいます。
こちら側の足、とても骨が太く変形していますね。
係の男性が指し示して下さったのは、
ポッちゃんが引きずっていた悪い方の足でした。
隠れていたポッちゃんを引っ張り出して家にいれてから、
たったの4日でしたが、ポッちゃんはうちの飼い猫になりました。
我が家用に持参した小さな小瓶に、
咽喉仏と、悪かった足の骨の一部を収め、
あとはセンターに合葬をお願いしました。
ポッちゃんの体毛に合わせた不織布と、最後に首に結びつけた同じリボンで、
小さな骨壺を包みました。
まるでプレゼントのような包み方だとずっと気になっていましたので、
ポッちゃんが亡くなって半年程過ぎた頃、骨壺袋を作り直しました。
センターで火葬された小動物は、市川霊園近くの動物慰霊碑に合葬されています。
祖母や両親のお墓から割と近くなので、お墓参りの度に、慰霊碑に立ち寄ります。
そこにポッちゃんはいないのだとわかっていても、どうしても足が向いてしまうのです。
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自分の飼い猫ではない地域猫に、
どこまでしてあげられるか。
何度もこのブログでも書いてきたことですが、
常に、自分に対して問いかけています。
2019年秋に保護したルルちゃん。
1才になったばかりで既に初期の腎不全を患っていたルルちゃんに、
私は出来るだけのことを・・・と、手を尽くしてきました。
保護以来、ルルちゃんを預かって下さっているAさんに、
腎不全用のドライフードとシチュー缶を届け、
腎臓治療薬とサプリを届け、数か月おきに血液検査に連れていく。
ルルちゃんにかかる医療費、食費は
年間かなりの金額になりますが、
幸せになってもらおうと保護した子ですから、
出来る限りの治療とケアをしてあげたいという思いが強かった。
保護猫のルルちゃん。
同じ腎不全のポッちゃんに、私は何をしてあげたというの?
出来ることはいくらでもあったはずなのに、
あえて、それをしようとはしなかったのではないの?
ポッちゃんに何らかの異常が見られると気付いた時に、
健康状態が明らかに下降線をたどり出した時に、
腎不全か甲状腺機能障害?と不安になった時に、
すぐに病院に連れていくべきではなかったのか?
耳や足をふいてあげようとすると、シャーシャー言い出して、
足をひきずりながら結構なスピードで逃げていったポッちゃん。
ポッちゃんが嫌がるようなことはしたくなかった。
毎日口をこじ開けて腎不全治療薬を飲ませればよかったのか。
押さえつけて補液をしてあげればよかったのか。
まだ普通に動けた頃のポッちゃんだったら、激しく抵抗したでしょう。
やろうと思えばできたはずですが、
ポッちゃんには庭で、好きなように過ごしてほしいと思っていました。
ルルちゃんはこれから里親探しをする保護猫。
ポッちゃんは保護猫ではありません。
ずっと野良で生きてきた果てに我が家に辿り付き、
地域猫となった外の子です。
外の子にそんなにお金をかけてあげられない。
そこで、私はルルちゃんと差別してしまった。
腎不全を患っている猫にとって、
高たんぱくの食事は好ましいものではありません。
リンを制限した食事をさせなくてはいけないことは知っていました。
腎臓サポートに見向きもしなかったのなら、
工夫をして何とか食べさせればよかったのに、
私はそれをせずに、ポッちゃんが好むパウチとドライを与え続けました。
ポッちゃんには毎日、フガフガと鼻を鳴らして食べるほど、
好きなものをお腹いっぱい食べさせてあげたかった。
それも、ポッちゃんの健康悪化の要因のひとつに違いありません。
地域猫にどこまでしてあげられるか。
毎日のご飯と寝床と、排泄場所の管理はする。
でも、高額な費用がかかるような医療行為はしてあげられない。
それが私の出した結論でした。
その結論によって、
もしかしたら永らえたかもしれないポッちゃんの猫生は、
6才を過ぎたところで終わってしまった。
自分の飼い猫ではない外の猫に対してしてあげられることは
これとこれ、という風な決まりはありません。
その猫の世話をしている人間が、
自分の考え、価値観、経済力によって決めることです。
お金がなくても、何とかしてあげたいと病院に連れていく方もいるだろうし、
お金があっても、そこまでやる必要性を感じない方もいるでしょう。
外の猫にそこまでやる必要はあるのか?
という考えがあった為、私は大切なことを見失っていました。
地域猫はそうやっていなくなっていくのだとか、
それが持って生まれた外の子の猫生なのだとか、
余計な考えが頭の中を行ったり来たりして、
自分の中にあった、ただひとつの強い願いが
膜に覆われてしまっていた。
ポッちゃんはこの地域に住んでいる地域猫のうちの1匹でしたが、
同時に、我が家に永住している私達の猫でもあったのです。
ポッちゃんの心臓がとまった時、
私がつぶやいた「ごめんね。」は
きっと、そういうことだったのだろう。
ポッちゃんの姿を毎日庭で見ていたかった。
ポッちゃんには生きていて欲しかった。
ポッちゃんが大好きでした。
病気だった猫、怪我をしていた猫、
目に見えるハンデを体に負った猫。
そんな猫達が亡くなると、よくこのように言われます。
虹の橋を渡った彼らは健康そのものの姿で
楽しそうに走り回っているでしょう。
違う。
違う。
違う。
あちらに行っても、背骨が歪んだまま、
足を引きずって歩き回っているポッちゃん。
それでいいんです。
それがポッちゃんという猫の姿だったのだから。
The End.
主様、ありがとうございました。
ブログを読み終わって一番初めに浮かんだ言葉です。
愛しい命が旅立ってしまうと、アレもしてあげれば良かった…こうしてあげれば良かったのか?と自責の念に駆られます。が正解はありません。悲しみと向き合うと後悔ばかりが湧いてきてしまいます。
此ればかりは何度経験しても、どうしようもないことです…
安心して帰れる場所があった…美味しいご飯が食べさせてくれる人がいた…主様の心遣いの一つ一つがポッちゃんが生きていく上での安心に繋がった、ゆったりと心休める時間になった…それだけでも、ポッちゃんはとても幸せだったのでは無いでしょうか。
ポッちゃんと過ごした時間の中で主様の中に作られた“経験”は次に出逢う子達に生かされることでしょう…ポッちゃんの生きた証として…。
最期までポッちゃんの命と向き合い、一生懸命に寄り添った主様だからできることです。
最期まで寄り添ってくれて、本当にありがとうございました。
優しいお言葉、ありがとうございます。
ポッちゃんとの経験は、今後活かされる・・・本当におっしゃる通りです。
ブログがまだまだ追いついていませんが、ポッちゃんの件での後悔から得た強い気持ちを、
次の猫に向けることになりました。
大切に思っていた猫が亡くなると、ぽっかりと心に穴が開いたようだと表現します。
その穴は埋める必要はない、埋めてはいけないのかも。
私の中では、空席になってしまった場所に、他の命がとってかわって座ることはありませんし、
その空席が取り払われることもないのです。
空席は空席のまま永久欠番になりますが、また新しい席も少しづつ増えていきます。
空席と共に前に進んでいけばいいと思っています。
ポッちゃんは幸せだったと思います。
主人様のお気持ちもよーくわかります。あまり自分を責めないでください。
少なくともポッちゃんはねこ藩様と出会えてよかった、幸せだったと思います。
優しいお言葉、ありがとうございます。
ポッちゃんの表情、ふるまいを見ていて、
『あ、ポッちゃんは私のことが好きなんだな』と思っていました。
だからこそ、そんなポッちゃんにもっとしてあげられることはあっただろうと
後悔ばかりです。