昨年、2021年(令和3年)1月6日にアップしたブログです。
「平成31年度(令和1年度):犬猫殺処分数(環境省公表)」
https://nekohan.jp/archives/13049

そして、昨年末、環境省が公表した最新の資料がこちら↓。
「2020年(令和2年)度の犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況」
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/statistics/files/r03/2_4_3a.pdf
*2020年(令和2年)度=2020年4月1日から2021年3月31日まで。

 

 

 

平成29年度(2017)、平成30年度(2018)、令和1年度(2019)、令和2年度(2020) の
千葉県の数字を比べてみます。

 

 

 

 

幼猫の殺処分は、前年の半分以下(306匹→125匹)と減少していますが、
ここ数年減りつつあった成猫の殺処分(122匹→81匹→52匹)に関しては,
また増加(81匹)してしまいました。(赤の囲み部分)

新型コロナウィルスによる生活環境の変化により、
飼養継続が出来ない状況に陥った飼い主が増えたのでしょうか。
引き取り数を見ると、成猫の、飼い主からの引き取り数が増えています。
青の囲み部分

所有者不明の幼猫の引き取り数(1159匹→976匹→999匹→855匹)が、
緩やかな減少傾向にあるのは、野良猫の不妊手術が
少しづつ進んでいる結果だと思いたいです。

 

 

 

殺処分となった猫の内訳は以下の通りです。

①譲渡することが適切ではない(治癒の見込みがない病気や攻撃性がある等)
105匹(成猫69・幼猫36)  ・・・前年度は75匹(成猫32・幼猫43)

②譲渡先の確保や適切な飼養管理が困難な動物の殺処分
6匹(成猫0・幼猫6) ・・・前年度は59匹(成猫9・幼猫50)

③引取リ後の死亡
95匹(成猫12・幼猫83) ・・・前年度は224匹(成猫11・幼猫213)

 

 

 

①治療の見込みがない・攻撃性がある

ペットが病気になると飼い主さんのケアが必要になり、医療費がかかります。
愛護センターにも持ち込まれる犬猫は、飼い犬飼い猫ではありませんから、
センター側で手をかけお金をかけて、治療してあげることは難しいと思います。
またセンターは犬猫の人慣らしトレーニングをする場所ではありません。
数が少なければ何とか取り組む方法もあるのでしょうが、
攻撃性のある、または扱いが容易ではない性格の犬猫の人慣らしは、
人員、時間、費用、場所…あらゆる点で余裕がないことは想像できます。

 

②譲渡先の確保や適切な飼養管理が困難

伴侶動物(ペット)として家庭で飼うことの出来る状態にもかかわらず、
殺処分せざるを得なかった猫達が6匹いたということだと思います。
都道府県によりますが、里親募集を行っているセンターもあります。
しかし、センターは終生飼養施設ではありませんから、
貰い受けてくれる里親が見つからない場合、その個体を、
一生保護し続けることは難しいでしょう。
また、例えば、大量の犬猫がセンターに持ち込まれてくれば、
スペースの関係上、空きを作らなくてはならないこともあります。
例えば、20匹収容できるスペースがあるとして、
そこには数か月前から5匹の健康な猫が収容されているとします。
そこに、7匹、6匹、5匹、4匹・・・と立て続けに新しい猫を
収容しなくてはならなくなった場合、前からいる猫が
押し出される形で移動しなくてはなりません。
どこに移動・・・・わかりますよね。

今回、②と理由で殺処分になった幼猫は6匹。
前年が50匹でしたから、これは大きな変化です。
センターに収容されてくる幼猫をせっせと引き出して保護し、
里親探しをして譲渡まで持って行く。
せっかく生まれてきた命が殺処分になってはいけないと、
幼猫の命を繋ごうと日々奮闘されている
素晴らしいボランティアさん達がいます。
そういうボランティアさん達が必死に頑張っても、
手の届かなかった幼猫もいたのかもしれません。

 

③引き取り後の死亡

前年に比べかなり減少しているとは言え、
センター収容後の幼猫の死亡はどうしても多くなります。
野良猫は逞しく生きている・・・なんてこと、よく言われていますが、
外で生まれた全ての猫が、成猫へ成長できるわけではありません。
外の厳しい環境の中で、幼猫が生き延びて成猫になる確率は
私達が考えている程高くないのです。
母猫は多い時には6匹くらい子猫を出産しますが、
その6匹全てが無事に成長していくわけではありません。
人間の子供と一緒で、自分で生きることはできない。
親が手をかけてきちんとケアをしてあげなくてはなりません。
母乳と体温管理が必要な上、風邪をひいている、お腹を壊している、
発熱している、栄養が足りていない・・・
そんな状態の幼猫が捕獲され母猫から離されて、
センターに収容されてくるのですから、
収容から数日で亡くなってしまうことが多いのだと思います。

 

 

 

 

恥ずかしながら、私は愛護センターに行ったこともなければ、
センターの職員にお話を伺ったこともありませんので、
数字を見て述べた見解は、私個人の考えてあり、
事実とは多少異なる部分があるかもしれません。

 

 

 

 

不妊手術をすることにより
野良猫の数が増えないようにする。

 

 

繁殖制限をすれば、次の世代を絶つことができます。
それは、今後野良猫の数が増えていかないということであり、
野良猫の数が徐々に減って行けば、町の猫問題も減ります。
TNRや保護と、ボランティアがあちこちを走りまわることも
少なくなってくるでしょう。

既にそういった状況になりつつある場所も増えてきてはいますが、
市全体、県全体、国全体で考えれば、まだまだ遠い未来の話です。
それでもやり続けなくては、その未来はやって来ない。

 

 

 

 

さて、昨年のブログにも記したことですが、
幼猫の殺処分の数字にスポットを当てる理由。

「繁殖能力のある猫が減ると子猫が生まれなくなり、
センターに持ち込まれる子猫の数が少なくなる。
そして、殺処分になる子猫が減る。」

つまり、こう考えることが出来ると思います。

●殺処分になる子猫が減ったのはどうして?
~センターに持ち込まれる子猫の数が減少したから。

●センターに持ち込まれる子猫の数が減ったのはどうして?
~生まれる子猫の総数が減少しつつあるから
~巷で保護され飼われる子猫が増加しつつあるから。

●生まれる子猫が減ったのはどうして? 
●保護され譲渡される子猫が増えたのはどうして?
~繁殖能力のある猫が減少しているから。
~猫を保護するボランティアが増加したから。
~ペットショップやブリーダーから猫を飼うのではなく
保護猫を迎えて飼おうとする人間が増加したから。

 

 

これまで同様、指標、目安として、
TOPページの、幼猫の殺処分数の表示は続けていきます。

 

 

 

 

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最後になりましたが、ちょこっとだけ。

不妊手術、不妊手術とバカのひとつ覚えみたいに繰り返して、
ほんっと、ボランティアってうるさい・・・と言った方がいるそうです。

 

確かにうるさいな(笑)。

 

 

 

「不妊手術の徹底」というのは人間側の都合で行うこと。

猫の繁殖能力を奪い、耳にカットを入れることを
心から楽しんで行っているボランティアなんて
恐らくいないでしょう。

(いないですよね? まさか、いるの?)

地域のトラブルを解決しつつ、猫を守るために、
人間側が致し方なく行っている行為。
私はずっと前からそう解釈しています。

 

外に猫がいることで、
住民の皆さんが猫の暮らしを見守り、
世話をすることに喜びや幸せを感じ、
野良猫に関するトラブルなんてゼロ、
人間の世代が変わり、住人が変わっても
その状況が未来永劫続いていくならば、
繁殖制限は絶対に必要なことではありません。

でも、実際、そんなのあり得ないでしょ。

増えすぎれば問題が発生することは当然だし、
住人のどなたかが引っ越すか亡くなるかして、
その跡地を購入して越して来た新しい住人が、
やっかいな性格の上に猫嫌いだとしたら、
これまでの状況とは全く違うものになってしまいます。

金属の箱に入れられて、麻酔をかけられて、
生殖器没収なんて、確かに猫にとってはひどい話です。
でも、猫が可哀そうなんて言っていたら、
トラブルを解決する為のハードルが上がる一方です。
人間と猫がこの世の中で共生していくには、
どうしても頭数の制限が必要になってくるのです。