2022年度用ねこ藩カレンダーは完売しております。
お買い上げ下さった皆さま、ありがとうございました。

 

 

毎年、カレンダーにはメッセージを込めています。

猫は小さな生き物だけれど、
関わる人間にとってはとても大きな存在になる。
その1匹との関わり合いが、
幸せなものであっても、後悔の残るものであっても。

タイトルの「ちいさくておおきい。」はそういう意味です。

 

 

カレンダーの製作過程について説明させて下さい。

カレンダー製作は、各ページのデザインを考え、
表紙、裏表紙と併せて、形にすることから始まります。

次に、月ごとに画像を掲載する枠を作り、
カレンダー1冊全体で何十枚の猫画像が使用できるかを
確認後、主役となる画像集めに入ります。

9月から翌年の8月までの間に卒業していった保護猫を中心に、
それ以前の卒業猫、現在も里親募集中の保護猫、
そして地元の地域猫達の画像が対象になります。

ねこ藩や預かりさん達で所有している保護猫時代の画像と、
譲渡後に里親さんが撮影した画像を集め、
その中から、画素数、背景、角度、猫の向き等を考慮して、
カレンダー画像として好ましいと思われるものを選んでいきます。
これはかなり時間を費やす慎重な作業なのですが、
時間がかかり過ぎてしてしまうと、後の工程に影響が出てしまいます。
(その為に里親の方々には画像提供の締め切り日をお伝えしています。)

どの猫をどの月にもっていくかを考え、
画像の向きや大きさ等を合わせる為に多少手を加えたりして、
カレンダーの枠にはめ込んでいくことになります。

1月~13月(翌年の年間カレンダーのこと)が出来上がったら、
カレンダーのタイトルと、裏表紙のメッセージを入れて、
カレンダー本体が仕上がります。

その後、カレンダーに添付する解説ペーパーや、
紙製販促フライヤーと、SNS用販促画像を用意します。
(今回はもう1点、保護猫・地域猫の紹介ペーパーも製作。)

全て準備が整ったところで、販売開始・・・という流れです。

 

 

 

2021年度カレンダー製作の際は、
テーマとメッセージが、なかなかまとまらず、
原稿の準備までに時間を要してしまいました。

今回は、私にとって大きな出来事=ニャースの怪我の件があり、
昨年経験した2匹の猫の死に対する後悔も引きずっていましたので、
その経緯や、胸中をメッセージとして吐き出すことにしました。
「死」が関係してくるテーマを2年続けるのは、
いかがなものか・・・と、少々悩みはしましたが、
実のところ、それ以外のことが頭に浮かんで来ませんでした。

 

さて、毎年カレンダーを購入して下さっている方は
既にお気づきになられたかもしれませんが、
今回のカレンダーは、セピア等の色加工、デッサン風等の加工をせずに、
全ての猫の画像をほぼ同じサイズで統一しています。
新しい試みですが、気に入って下さいましたでしょうか。

コロナ禍でイベント販売なし、の状況が2年程続いていますので、
売れ残り覚悟で、昨年と同じ部数を発注しました。
ところが、嬉しいことにその予想は大きく外れました。
販売開始から10日程、ほぼ完売というところまできましたが、
毎年注文して下さる方々からの連絡がまだ来ていないことに気付き、
また、既に購入して下さった方々から追加注文をいただいたりで、
カレンダーが全然足りません状態になってしまい、
コスト高になることを承知の上で増刷発注しました。
その増刷分も1週間程で完売しました。

心から感謝しています。ありがとうございました。

 

カレンダーが行き渡らなかった方々もいらっしゃいますので、
カレンダー裏表紙のメッセージと解説ペーパー冒頭メッセージを
下に(↓)転載しておきます。

 

 

 (=^・^=) (=^・^=) (=^・^=) (=^・^=) (=^・^=) (=^・^=)

 

 

 

「ちいさくておおきい。Small, Weak, but Irreplaceable.」
カレンダー裏表紙より。

 

 

 

 

 

3年ほど前から、我が家の庭で暮らし、毎日ご飯を食べている地域猫が3匹いました。
【ニャース】【ポッちゃん】【くらら】です。

今年の4月、そのニャースが事故に遭い、骨盤骨折の大怪我をしました。
酷い怪我を負いながら体をひきずり、必死に「家」に戻ってきたところを保護しました。
大きな病院に緊急入院させたところ、多額の医療費がかかり、
治療出来たとしても自力排泄が出来ない状態になる可能性があると告げられました。

飼い猫ではない地域猫に、自分はどこまでするべきなのか。

私は室内で飼えない状況にあるため、地域猫としてこの3年ニャースの世話をしてきました。
もし退院後、もう外で生きていけない状態になるなら、どうすればいいのだろう。
自分の飼い猫ではない「地域猫」に、多額の医療費を払う覚悟が自分にはあるだろうか。

ニャースの状況は悪く、骨盤骨折に加え、下肢には骨が見える程の裂傷、
さらに尿道は潰れ体内に尿が浸み出し、皮膚が壊死しかかっています。
あれこれ悩んで躊躇していてはニャースは助かりません。

そんな時、できる限り医療費を抑えつつ手術と治療をする方針で
ニャースを引き継いで下さるという獣医さんと出会い、ニャースを転院させました。
獣医さん、スタッフさんの尽力のおかげで、怪我も治り、
ニャースは自力排泄も完璧に出来るようになりました。
そして約3ヵ月の入院生活を終えて、ニャースは再び私の家に帰ってきたのです。

ニャースは飼い主のいない猫ですが、我が家の庭に住んでいた猫です。
そして、私は飼い主ではありませんが、3年間ニャースの世話をしてきた人間です。

 

3ヶ月の入院と治療をニャースは耐えました。
そんな生命力の強いニャースを受け入れ、一緒に暮らしたいと思って下さる方が現れるかもしれない。
いつになるかわからないけれど、その出会いを待つことにしよう。
そう考えて、ニャースが慣れ親しんだ庭には戻さず、室内に保護することにしたのです。

 

ニャースと一緒に我が家の庭で地域猫生活を送っていたポッちゃんが、
2020年夏、腎不全の急激な悪化により亡くなりました。
徐々に弱ってきていることは最期の1ヶ月でわかっていましたが、
無理して投薬したり、食べたがらない療法食を与えたりすることはせず、
最期まで、ポッちゃんの好きなように毎日を過ごしてもらうことにしました。
それが、「外で生きて来た猫を看取る」ということなのだと考えたのです。

 

「1匹の地域猫が寿命を終えた。」
傍から見ればそれだけのことですし、
私も当初はそのように受け止めていました。
それなのに、ずっと後悔と悲しみばかりです。

 

時間が経ち、やっと気が付きました。
飼い猫だとか、飼い主のいない猫だとか、地域猫だとか、野良猫だとか、
猫のステータスなんか、実は、どうでもいいことだったんです。
私はポッちゃんが大好きで、ポっちゃんにずっと生きていて欲しかったのです。

 

ポッちゃんの時のような後悔はしたくない。
ニャースには元気になってもらう。そして長く幸せな猫生を送ってもらう。

 

野良猫、地域猫、保護猫、飼い猫……。

私達ボランティアが日々関わっている猫達はとても多いです。
全ての猫を救済すること、ましてや高額医療費を負担しつづけることは不可能です。
だったら、飼い猫ではないとしても、今、自分の目の前にいて
助けが必要なニャースを全力で助けよう。
ポッちゃんを亡くして、私はそう決めました。

この地球上に、同じ人間は誰ひとりとしていません。それは猫も同じです。
今、目の前にいる猫は、世界に1匹しかいない猫。
その小さな命が消えてしまったら、全てがおしまい。
代わりの猫なんて、どこを探したって存在しないんです。

 

私達が一生のうちに出会う猫の数なんて、外で生きる猫の総数から考えれば
ほんの一握りの砂漠の砂のようなものでしょう。
そんな砂漠の中で出会った1匹の猫の命。
「助けることを諦めた」「助ける努力をしなかった」
その後悔はずっと残ります。

 

「何とかしてあげたい」と最初にそう思った瞬間、
それが自分の純粋な気持ち、本当の心の声。
その声に従うかどうかは自分が決めることですが、
「手を差し伸べる」「諦める」、どちらの選択をしても、
出会ったその猫はずっとずっと自分の中に住み続けます。

 

He/she may be small and weak but is definitely irreplaceable.

猫1匹。出会ったあなたにとって、その猫は小さくて大きい存在になるのです。

 

 

 

 (=^・^=) (=^・^=) (=^・^=) (=^・^=) (=^・^=) (=^・^=)

 

 

 

「カレンダー解説ペーパー冒頭メッセージ」

 

 

新型コロナウィルスというものが世の中に広がり始めてもうすぐ2年になります。
繰り返される緊急事態宣言、外出自粛要請下、私達人間の日々の生活は大きく変わりました。
外出時のマスク着用、手指の消毒とうがい、不要不急の外出は控える。
仕事は在宅ワークという形態になり、ソーシャルディスタンスという言葉も定着しました。

家にいる時間が長くなったことにより、猫を飼いたいと考える人間が増えたそうです。
確かに、コロナ禍であっても、譲渡のペースはあまり変わっていません。

「家にいる時間が多くなったから猫でも飼うか」という思いつきで、
猫を飼うことを検討されている方がまわりにいらしたら、ぜひ警告してあげて下さい。

「散歩の必要がないから猫はラク、なんて思っていたら大間違い。
猫はストレスが溜れば家具やソファで爪を研ぐ、ゴミ袋を荒らす、箱をひっくり返す、
嘔吐や粗相でカーペットを汚す、真夜中に鳴く、走り回ってベッドの上に飛び乗る。
爪を切ろうとすれば抵抗して引っ掻くし、怒ってもそっぽむくしし、無視すれば突然噛みつく。
どんなに疲れていても相手をしないといけないし、トイレも頻繁に片付けなくてはダメ。
猫にとって、あなたは同じ空間にいることを許された使用人のようなもの。」

猫を飼うということはそういうことです。

その警告にひるむことなく、
「それでも、猫を家族として迎えたい、ずっと大切にして一緒に暮らしたいな。」
という強いお気持ちがある方でしたら、お金を出して猫を購入するのではなく、
保護猫を迎えるという選択がある、ということを教えてあげて下さい。

そして、最後に付け加えて下さい。

「あんな小さい動物だけれど、必ずかけがえのない大きな大きな存在になるよ。
この子がいるから頑張ろうという前向きな気持ちになるよ。」と。

 

 

 

 

2022年ねこ藩カレンダーが、これから1年間、
皆さまの(小さな)お役にたちますように。