2016年秋。
上村さんご一家のお庭にやって来る、
母猫ちこちゃんのTNR、そして、
生後5ヶ月弱のとらちゃんの保護と里親探しを
お手伝いしました。
2016年10月31日のブログ
https://nekohan.jp/archives/3746
2017年1月8日のブログ
https://nekohan.jp/archives/4161
その後も何かと交流が続いている依頼者の上村さんご一家。
フリマでの販売のお手伝いや、幼猫・子猫の預かりと、
多大な協力をして下さっています。
上村さんが育てて下さった子猫達は、
みな素敵なご縁に恵まれ、幸せに暮らしています。
2年半前に、TNRを済ませたちこちゃんは、
不定期ですが、上村さん宅の庭に遊びに来ています。
ちこちゃんのホームは界隈のどこかにありますので、
上村さんはちこちゃんの餌づけはしていませんが、
ちこちゃんが来れば、フードを出してあげています。
4月中旬、その上村さんから相談がありました。
「最近庭をウロウロしている若い白黒の猫がいるんです。
避妊手術してあげようと思うのですが…。」
連絡をいただいたその日、
上村さん宅方面に用事がありましたので、
ついでにお宅に寄って捕獲器をお届け。
早速、捕獲器内でご飯を食べる訓練を始めます。
ハッちゃんと一緒に来たのかどうか、
耳カットの入りの茶白の猫が
庭にいることもありました。
訓練開始からちょうど1週間後の朝、
予定通り、ハッちゃんが捕獲器に入りました。
これで、上村さん宅近所で、妊娠出産する猫が
また1匹減りました。良かった、良かった。
夜ハッちゃんを病院に迎えに行くと、先生が、
「健康そうだよ~。去勢手術したからね~。」
あら?
男の子だったのね。
(^_^;)
上村さんが玄関内に設置した2段ケージで、
2晩療養したハッちゃんは、お外に戻って行きました。
◆ハッちゃん◆
性別:オス
推定年齢:1才
体重:3.2kg
2019年4年24日
去勢手術・駆虫・三種混合ワクチン
医療費:9000円(ねこ藩負担4500円・上村さん負担4500円)
ハッちゃんの登場時期とほぼ同時期に、
汚れた白三毛も、上村さんのお庭に来るようになりました。
ナンちゃんという名前を付けました。
風邪を引いているのか、目ヤニがひどく、
とても痩せていて、病気の可能性もあります。
また、若そうな猫ではありませんので、
とりあえず先生に診ていただき、
年齢と状態によっては避妊手術はせず、
注射等、今の症状が少しでも改善するような
医療行為をお願いしようということになりました。
世の中はGWに突入していましたので、
双方の都合と、獣医さんの都合をすり合わせ、
ナンちゃん捕獲予定日を決めました。
その間、扉がしまらないようにして
上村さんが捕獲器を庭に置きました。
ナンちゃんは捕獲器の中で、
まったりと日向ぼっこをしています。
なるほど、そうか。
扉が閉まらない捕獲器は出入り自由の個室だし、
網だから陽が入ってぽかぽかのサンルームになるんだね。
ハッちゃんのリリースから5日後の午前中、
上村さんがナンちゃんを捕獲しましたので、
病院に預けました。
午後になって、先生から電話が来ました。
「この子の手術はやめよう。しない方がいい。
口内炎もそうだけど、口内にかなりの黄疸が出て、
病気が進んでる。先はあまり長くないと思う。
とりあえず、今出来ることをやっておくから。」
ああ、やはり既に病身だったか。
決して楽ではない外での生活。
野良猫は病気になっても耐えるだけ。
治療してもらえる猫なんてほとんどいない。
ナンちゃんの病気は治らないだろうけれど、
今回、上村さんが気にかけて
捕獲して下さったおかげで、
少しは緩和治療をしてあげます。
「あまりに弱っていて状態がおもわしくなければ、
うちで看取ってあげようとと思います」
上村さんは、そうおっしゃっていました。
上村さん宅のケージで2日間の療養。
先生はそう長くは持たないと言っていたけれど、
威嚇も食欲もあり、まだまだ元気そうなナンちゃん。
厳しいとは言え、ずっと外で自由に暮らして来た子を、
病気持ちだからと死ぬまでケージに閉じ込めるのが
果たしていいことなのかどうか。
上村さんは考えた末にナンちゃんをリリースしました。
玄関前の階段で少しよたっとしたナンちゃんでしたが、
その後はとことこと歩きだし、
上村さん宅前の路地を入って行きました。
ナンちゃんが庭に来た時の為に、
体を休める場所を作っておこうと思う。
上村さんはそう考えて、寝床を用意しました。
病気持ちのナンちゃんですから、
上村さんは、リリース後、心配で心配で、
近所を歩き回りナンちゃんを探したところ、
すぐ近くのお宅の庭にいるナンちゃんを発見。
上村さんの玄関ドアを開けて、見えるお宅です。
ホッとした上村さんは、そのお宅の勝手口付近に、
ナンちゃん用のちょとしたおやつを置くという
大胆な行動に出る(笑)。
上村さんは古い住宅の多いこの地域に
新しく引っ越してきたご一家です。
これまで、周りに住んでいる方々と
ほとんどお付き合いがありませんでしたので、
あのお宅にはこういう方が住んでいるとか
どこのお宅が猫を飼っているとか、
そういった近所情報をあまりお持ちではありませんでした。
以前、上村さん宅に伺った際、
ナンちゃんがいたお宅の庭に、
長毛の美しい猫が坐っているのを
見かけたことがあります。
あの家はもしかして、何か猫と関係が?
これはいいチャンスじゃないの?
私は迷わずにそのお宅のインターホンを押しました。
無反応。留守か居留守か、と思っていたら、
反対側の勝手口の窓から高齢のおばさまが顔を出しました。
お話を伺ってみると、そのおばさまSさん宅では、
2匹の猫を飼っていて、時々外に出てしまうそうですが、
そのうち1匹が、あの長毛の美しい猫さんでした。
飼い猫はもちろん避妊済み。
ナンちゃんのこともハッちゃんのこともご存じでした。
ご飯も上げて下さっているようです。
おばさまの話によると、もう1匹、
ハッちゃんに似た白黒のメスが界隈にいるそうです。
近々、その猫もTNRするべきでしょう。
ご飯をあげつつ、その猫をおばさまの庭に
引きつけておいて下さるといいのですが。
ナンちゃんはどこから来たのかわかりません。
でも、ナンちゃんは居場所のない猫じゃない。
Sさん宅、上村さん宅、少なくとも居場所が2つ出来ました。
お腹がすいたら、あるいは、しんどくなったら、
どちらかのお宅に来て留まってくれますように。
◆ナンちゃん◆
性別:メス
推定年齢:2-3才
体重:2.6kg
2019年5年1日
インターキャット・ステロイド注射・血液検査
駆虫・三種混合ワクチン
医療費:10000円(ねこ藩負担4500円・上村さん負担5500円)
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今回の件にしても、黒猫にゃのわにしても、地域猫にしても、
どこまでやってあげたらいいのか、意見は様々だと思います。
体調の悪い猫を外に置いたままにしておくなんて、
骨折した猫、病気持ちの猫をリリースするなんて、
と、心中穏やかではない方もいるだろうし、
飼ってもいない猫にそこまでしてあげるの?
なんて、驚く方もいるかもしれません。
毎回、繰り返し同じことを言いますが、
1匹の猫を助けようと思ったら、その時に、
自分に出来る方法で、出来ることをしてあげる、
に尽きると思うのです。
お金をかけた医療行為も大切なのかもしれませんが、
小さな命に、心を傾け、気持ちを注いであげることは、
お金をかけるのと同じくらい、いや、それ以上に
大切なことなのではないか、と思います。