私の住む○丁目には、飼い主のいない猫のTNR・地域猫活動、
子猫の保護等、病気・負傷猫の手当て等を
積極的に行っている個人の方があちこちにいらっしゃいます。

私は猫のボランティア活動を始めてまだ5年程ですが、
始めた当初はそんな事実を全く知りませんでした。
活動を続けるうちに、様々な住人の方々と知り合い、
情報を得たり、交流を持つことにより、
飼い主のいない猫への取り組みに関する、
この○丁目の全体像(実際には3分の2程度)を把握しました。

 

 

○丁目のすぐ隣、△丁目に関しては、ずっと以前から、
何ヶ所か「ヤバい」場所があることは地元でも有名でしたし、
私自身も何度かその場所で複数の猫を見ています。

そういった「ヤバイ」場所であっても、
その場所に住む数世帯の方々が協力を拒んだり、
飼い主のいない猫への取り組みに関心を全く示さない場合、
敢えて自分一人で乗り込むことはしませんでしたし、
これからもしないと思います。

というのは、TNRおよび地域猫活動というのは、
その時だけやって、「はい、終わり」ではないからです。
手術をした猫達はどうなっているのか、
新しい猫が増えたりしていないかどうか、
その後も定期的にチェックをする必要があるからです。

問題のある場所に複数の猫達がいた場合、
捕獲、通院、支払い、術後の猫の管理等、
住人の協力がない状況下で、
別の離れた場所に住む私ひとりが、
全てを背負い込むことは出来ない・・・
というよりも、したくありません。

 

そんな△丁目の現状でしたが、
ブログに頻繁に登場するM姉妹、隣町に住む若いYAさん、
衣料品店主Tさん(お住まいは別の地域)のおかげで、
△丁目では10匹以上の成猫のTNR、
20匹近くの子猫・成猫の保護が済んでいます。
また、私が過去に自宅の庭でTNRした猫達の多くも、
△丁目か、隣町□丁目の出身です。

 

つい先日、ブログに描いたばかりの
ミーコ一家の件、HGさんの件。
これも△丁目の話です。

考えてみれば、△丁目も全く手つかずという訳ではない。
△丁目にもいい流れがやって来ているのではないかと
思っていたところ、またまた△丁目の新しい「猫案件」です。

 

 

2018年12月半ば。

△丁目にお住まいのKMさんという方から、連絡が入りました。

飼い猫が脱走してしまったのですが、
捜索のアドバイスをいただけないでしょうか。

 

 

実は、私自身、脱走猫捜索の経験はあまりありません。
これまでに100匹以上の保護猫を送り出していますので、
「ちょっと油断した隙に脱走してしまった」
という連絡は何件かいただいています。

飼い主さんがすぐに対応して事なきを得たケース。
脱走から1週間後に捕まえたとらちゃんのケース。
行方不明になりそのまま・・・というケースはまだありません。

 

 

 

譲渡の際の条件のひとつに「脱走させないこと」があり、
その点を、お約束いただいた上での譲渡ですので、
里親さま達は充分気をつけていらっしゃると思います。
しかし、人間にも猫にも、予想外のハプニングはあります。
どうかそういうことがありませんようにと願っても、
残念ながら100%絶対はありません。
(100%絶対にしていただきたいですが。)

 

良い機会ですので、KMさんの件を報告する前に、
飼い猫が脱走したらどうしたらいいか、について
一度、要点を記しておこうと思います。

 

 

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飼い猫が脱走した場合には、素早い対応が求められます。

①家の外にご飯と水を置いて、いつも猫を呼ぶ声で呼びかけてみる。
②自宅敷地内(あるいは目撃場所)に捕獲器を設置する。
③自宅敷地内かすぐそばに猫がいることが確認出来ている場合は、
猫が自分から入って来られるようにドアや窓を少し開けておく。
③捜索チラシを作成し、近所に配ったり、自治会掲示版や、
許可の得られた場所に貼示する。
④警察、保健所、愛護センター等へ迷子猫の届け出をする。
⑤インターネットの迷い猫掲示版に情報を載せる。

 

脱走してもすぐに戻ってくる猫もいますので、
全てのケースに当てはまるというわけではありませんが、
飼い主として心得ておいた方がいい点があります。

どんなに慣れた飼い猫(室内飼い)でも、いったん外に出たら、
別の猫に変身したと思った方がいいです。

室内飼いの猫のテリトリーは家の中です。
例えそれが玄関のすぐ外の自宅庭であっても、
外というのは自分のテリトリーではない場所、
あるいは、外にいる他の猫のテリトリーになりますから、
猫は「怖い」と感じてすくんでしまい、
普段とは違うふるまいをするようになります。

普段、室内では簡単に抱っこできる猫であっても、
外では同じように出来なくなります。
外に出てしまった猫は「恐怖心」と「警戒心」の
レベルがぐーんと上がっていますから、
慣れた飼い主でさえ、触る、抱っこする、が難しくなります。
近づくことさえ出来ない場合もあります。
猫がそのような状態になっている時に、
飼い主が、グングン距離を縮めて近寄っていくと、
猫が更に恐怖を感じて遠くに逃げることがあります。

 

近づけない、触れない、抱っこできない。
そうなると、素手で確保することは容易ではなく、
キャリーにも入れられませんから、捕獲器を使います。
飼い猫に捕獲器?と思われるかもしれませんが、
それが確実に一番近い方法だと思います。

自宅近くに、強いボス猫や未去勢のオス猫が複数いる場合、
家から脱走した猫はそういったオス猫達のテリトリーに
いきなり入り込むことになります。
外のオス猫達にとっては、突然自陣に侵入者が現れるわけです。
オス猫達に睨まれて、遠くに追いやられる場合もあります。

そうでない限り、脱走後2-3日は、必ずと言っていい程、
自宅敷地内、あるいは自宅のすぐ近くに潜んでいます。

 

1日ならば、恐怖と焦りでそれどころではないでしょうが、
2日目になるとさすがに空腹に耐えられなくなります。
自宅敷地内に食事と水を置き、猫を引きつけておくと、
猫はここにいればご飯が食べられる=自分の食堂と学習し、
隠れつつも、とりあえずは近くで待機しています。

 

玄関や窓や勝手口を少し開けておくと、
自分から入ってくる飼い猫も多いですが、
空き巣に狙われる危険性もありますので、
人間が家にいる時だけの方法です。

玄関のドアを半開き、または少しだけ開けて置き、
玄関内にご飯を水を置くというやり方もあります。
猫が玄関内に入ってご飯を食べ始めたら、
人間は勝手口から外に出て玄関外側に回り、
出来るだけ音をたてないよう、静かに静かに、
外から玄関のドアを閉めて、猫を中に閉じ込めます。

猫は普段よりも敏感になっていると思いますから、
うまく玄関を閉めて閉じ込める自信がない場合には、
やはり捕獲器での確保がお薦めです。

脱走した猫を確保して室内に戻すことが出来たら、
めでたしめでたし、とそれでおしまいではありません。
猫が落ち着いてから、獣医さんに診ていただきます。
外に出たということは、普段室内では考えられない、
菌をもらってしまっている可能性があるからです。
特に他の猫と接触した可能性があるならば、
猫エイズ・猫白血病ウィルスの検査はした方がいいです。
また、脱走・帰還からしばらくの間は、
脱毛等の症状が出ていないか、よく観察します。
真菌(水虫)、疥癬、ノミアレルギー等の皮膚病に
かかっていると、治療が必要になりますし、
人間にも感染するものもあります。
その他にも、細菌性の病気はたくさんあります。

 

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KMさんの話に戻りましょう。

KMさんは新築のマンションの1階にお住まいで、
そのマンションはHGさんのお宅のすぐ近く。
ミーコがいた事務所も見える場所です。

連絡をいただいた前日に、ちょっとしたミスで、
3匹いる飼い猫のうちの1匹、ともちゃんが、
玄関から脱走してしまったとのことでした。
連絡をいただいてすぐに、捕獲器をお届けしました。

脱走してから1日、ともちゃんは絶対に近くにいるはず。
立体駐車場、隣家の塀の向こう、隣接する空き家の敷地。
ともちゃんが身を隠せそうな場所はいくつかあります。

KMさんはまず玄関前に、ご飯と水を置き、
駐車場の入り口付近に捕獲器を置きました。

関係各所への届け、チラシの作成は、
こちらがアドバイスするまでもなく、
KMさんご夫婦で既に済まされていました。

あとは、ともちゃんが捕獲器に入ってくれるのを待つだけです。

 

 

To be continued・・・