前回のお話。
2020年7月31日のブログ
「依頼者が消えました。:⑦ルルの腎臓」

依頼者が消えました。:⑦ルルの腎臓

 

ルルちゃん一家を保護したことで、
橋本さん、細谷さんの路地にいた猫の数は一気に減りました。

しかし、まだやるべきことは残っています。
路地を含むエリアに生息していると思われる他の猫達のTNRです。

 

置き餌を食べているオス猫が1-2匹いると、橋本さんはおっしゃっていました。
橋本さんは、そのうちの1匹である黒猫にクーちゃんと名前をつけて、
家の脇に寝床用段ポールを置いていました。

もう1匹の猫は、大柄な茶トラ猫ですが、
クーちゃん捕獲用の捕獲器を持参した際、
「あの茶トラ猫くんは、先日、くーちゃんの寝床の中で亡くなっていたの。」
と橋本さんから聞かされました。

 


この茶トラは後日、亡くなっていました。

 

ルルちゃんはあの大きな茶トラくんが怖いのか、
置き餌に近づけず、辛抱強く少し離れた場所で
茶トラくんがご飯を食べ終わるのを待っていました。

ルルちゃん、可哀そうに・・・と一瞬思いましたが、
茶トラくんっだって必死だったはずです。

傷だらけの顔に、薄汚れた体。
野良として生まれ、あちこち彷徨い、
喧嘩を繰り返し、人間になれないまま、
大人の猫に成長した茶トラくん。

いつもご飯を用意しておいてくれた
橋本さんの敷地で、ひっそりと最期を迎えたのです。

 

 

ボランティアのKさんと一緒に、調査の為に初めて路地を訪れた際に、
置き餌をしていることがわかった、1本西側の通りにお住まいのSさん宅。
その日はお留守でしたが、後日、お話を伺ってみると、
ずっと以前から、周辺に住む猫達にご飯をあげていたことがわかりました。

 

 

Sさんが提供して下さった画像には、
細谷さん宅のバルコニーに住む3匹の男の子、
プーちゃん、タイガ、とらのすけが、まだ小さい子猫の頃、
ルルちゃんと一緒に写っているものがありました。
その頃、ルルちゃんはSさん宅にもご飯を食べに来ていたのです。

 


まだ生後8ヶ月の頃のルルちゃん。
最初に産んだ3匹の子猫は全て男の子でした。

 

また、黒猫一家の画像もありました。
Sさんが近所の古いアパートで撮影したものです。
メスの黒猫とその子供達については、
過去に他の方々からも目撃情報はありましたが、
現時点では行方不明になっているようです。
撮影時期から考えると、画像の子猫達は
もう生後7-8か月にはなっていると思います。

 

 

姿が見えなくなった。最近見ていない。
それでも、何とか探し出してTNRをしておきたい。
未不妊のメスをそのままにしておけませんから。

 

 

敷地内に、画像に似た感じの黒猫親子がいたと教えて下さったお宅と、
撮影場所である古いアパート、そして橋本さん宅。
3か所に捕獲器を仕掛け、ボランティアのKさんと1時間半おきに
交代で捕獲器のチェックに出向きました。

比較的早い時間に、まず、橋本さん宅庭でくーちゃんが捕獲器に入りました。
少し後に、古いアパート敷地でも黒猫が捕獲器に入りましたが、
初めて見る大きなオスの黒猫(那智黒)です。

途中で雨が降り出した為、捕獲器を濡れない場所に移動させたり、
上に布をかけたりして、何度も確かめに行きましたが、
ついにメスの黒猫は現れませんでした。

 


まだ若い黒猫くーちゃん。


大きな黒豹のような那智黒。

 

Kさんが翌日、2匹の黒猫を病院に連れて行って下さり、
術後は、ひと晩ご自宅で療養させて下さいました。
くーちゃんは推定1-2才、那智黒は推定3-4才ですから、
あの黒い子猫達(の成長後)ではありません。

リリース後も、くーちゃんは路地に留まり、
橋本さん宅を本拠地にしていますが、
那智黒は現場付近では見かけなくなりました。
他の地域から一時的に、路地を訪れただけだったのかもしれません。

 

メスの黒猫とその子猫達は、その後も目撃情報なしです。
生き延びることが出来なかったのか、あるいは
路地をひとつ、ふたつ、向こう側に移動し、
結果的にだいぶ離れた場所に定着したのか。

 

橋本さん、細川さんは、現場の住民の方々は、
これで、とりあえずTNRは済んだと思っていたかもしれませんが、
私は、微妙に不完全燃焼。

 

その後も、ついでがある際に、現場付近で猫を探しました。
見たことのない猫がいれば、ご近所の方々に話を伺い、
捕獲器をしかける→空振り、を繰り返すこと数回。

 


夜中に仕掛けた捕獲器。

 


他の場所では、捕獲器の中の餌だけなくなっていました。

 

 

路地からだいぶ南下してきたところでも、
複数のオス猫を見つけ、捕獲器をしかける→空振り。

まだ付近にいるかもしれない1匹の黒猫メスはいない。
もう生後6ヶ月以上になっていると思われる黒い子猫達もいない。

数匹見かけるオス猫は皆体格がよく(ご飯を食べている証拠)、
神出鬼没。捕獲器には入らない。

 


見えにくいですが、茶トラが昼寝しています。

 


空き家の塀の上で見かけた白黒♂。

 

 

結局、あわただしい12月がやって来て、
私もボランティアのKさんも、
あの路地付近のTNRにいったん区切りをつけました。

 

 

 

その後も現場近くを通れば、立ち寄って辺りを見ていますが、
橋本さん宅敷地内にくーちゃん用のご飯が置いてあるだけで、
猫の姿は全く見えません。

Sさん宅敷地にも、フードとお水のボウルがありませんので、
訪れる猫もいなくなったのかもしれません。

細谷さん宅バルコニーには、地域猫として、
プーちゃんととらのすけが住んでいますが、
プーちゃんは長時間の外出が多くなってきて、
数日戻って来ないこともあるそうです。

一方、消極的なとらのすけは、
滅多に細谷さん宅の敷地から出ず、
バルコニーで暮らしています。

 

 


プーちゃんは商店街の辺りまで出て来ているようです。
(市議のKさん撮影)

 

 

 

 

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野良猫のTNRと保護、里親探し。
何度も何度も行ってきたことですが、
今回のルルちゃん一家の件では、
色々と反省することが多く、また、
今後自分どう対応していくかについて、
考えさせられることがとても多かったです。

 

 

★途中で手を引いてしまった依頼者・Yさんについて★

 

最初の頃は、自分から言い出しておいて何なんだ!
とカチンときたりもしましたが、
彼女の気持ちも何となく理解できます。

「猫がたくさん、大変、何とかできないかしら。」
増えた猫を見て危機感を持つ方はたくさんいますが、
そこから行動を起こす方は、まだまだ少ないでしょう。

立ち上がろうとしたものの、腰が引けてしまうのでしょうか。
社交性がない方だったり、引きこもりに近い方だったりすると、
ご近所の方々と話をしたり、病院、譲渡会、
その他猫の件で外出が増えたりすることがしんどいだろうし、
自分が率先して問題の解決に着手すれば、
近所で目立ってしまうのではないかという不安を
抱いてしまうのかもしれません。

 

2018年秋にお手伝いしたHGさん

彼女はまず保健所に相談し、こちらにたどり着きました。
6匹の子猫達の捕獲も保護もご自身で、
また保護猫にかかる費用も負担して下さいました。

精神的な問題で、途中から里親探しを諦めてしまわれましたが、
それでも行動を起こし、何とか頑張って下さった点については、
今回の依頼者・Yさんとは大違いです。

(残った保護猫4匹をご自分で飼っていましたが、
半年過ぎた頃、そのうちの1匹・チャーリーを脱走させてしまい、
「自分から出ていったのだからもう家に入れなくてもいい」と、
外に置きっぱなしにしている点は、本当に困ったものですが。)

 

今後は、相談を受ける場合に、
「あなたが中心となって動く、または動く努力をしてくれないのなら、
こちらは協力するつもりはないし、手伝う気はありません。」
というスタンスを貫いていこうと思っています。

そうでなければ、こちらの身が持ちませんから。

 

 

★里親お申込みの方への再確認★

 

里親募集掲載には、譲渡の条件や譲渡までの流れを
記していますが、その中に下の2つがあります。

〇完全室内飼い
〇猫は後日お届け

室内飼いというのは、文字通り室内飼い。
1時間外に出して、ご近所で好きなように過ごさせることは
「完全室内飼い」の範疇に入っていません。

猫を後日お届けする、というのは、
お見合いで気に入ったからといって、
お見合い当日に猫をご自宅に連れて帰ることは出来ない、
ということです。

けいちゃんのお見合いにいらしたご一家は、
事前のメールで、「条件等、理解・了承しました」と
書いておられましたが、しつこく再確認するべきでした。

 

 

★引き渡しの際の条件◆

 

けいちゃんの里親さまを例に、今後はこれを考え直します。

〇お迎え準備がきちんと出来ていることを前日までに再確認する
〇お届け時、こちらがお願いした準備が整っていない場合、
保護猫はお渡しせず、いったん連れ帰る。
〇お届け時、事前に伺っていた事実と実際の状況が違うことがわかった場合、
保護猫はお渡しせず、いったん連れ帰る。

今回は里親さまの人柄、性格を考慮して、
けいちゃんを譲渡という形にしましたが、
トライアル開始時の里親さまのアバウトさは
今でも心に引っ掛かっています。

 

 

★保護猫の性格ついて★

 

トライアル期間中のけいちゃんのふるまいについては、
私にとっても、預かりのKさんにとっても驚きであり、
またショックでもありました。

けいちゃんは、同時に保護したひめちゃんと一緒に
Kさん宅で保護猫生活を送っていましたが、
やんちゃで活発なけいちゃんに比べ、
どちらかというとおとなしく、落ち着いた感のある子でした。
ひめちゃんにおっぱいを吸われても、
けいちゃんはじっと耐えていましたし、
ひめちゃんに寄り沿っている風にも見えました。

2組の里親さま宅にトライアルに出たけいちゃんは、
やりたい放題、自分中心の活発な行動。
先住犬さんをビビらせ、先住猫さんへの遠慮も皆無、
しまいには、里親さまが「生活に支障が出ている」と感じる程、
いたずらし放題で、粗相まで始まる始末。

 

保護猫の性格というのは、実はハッキリこうだ!と
言えないものだと、あらためて思いました。

保護する側、預かる側としては、
保護環境下のふるまいしか見ていない為、
それが判断の基準になります。

しかし、今回、保護環境下のけいちゃんと
トライアルに出て、新しいお宅で過ごす、
けいちゃんの行動は全く違っていました。

 

これからは、「この子はこういう性格です」ではなく、
「今いるこの環境でのふるまいはこうですが、
環境が変われば、違った面が出てくるのは必然。
新しいお宅で、同じ性格・ふるまいでいられるのか、
全く違ってしまうのかは、こちらにとっても未知数です。」
と説明することにします。

 

 

★餌をやっているだけです★

 

今回の捕獲・保護を始める前に数件のお宅に話を伺い、
猫達にご飯をあげているお宅が4軒あることがわかりましたが、
(実際には、あと2軒くらいあると思います。)
そのうちの1軒、Sさんはだいぶ前から、
この辺の野良猫が出産しているのを知っている、
子供連れで餌を食べにくることもあったから、
とおっしゃっていました。

ボランティアというのは、
他の地域から手伝いにやって来るわけですから、
現場の状況や、これまでの経緯、歴史を知りません。
一方、餌をやっている方は、
日々、その地域の野良猫達を見ていますし、
個体を識別し、把握しています。

「本来は、餌をやっている方がTNRさえしてくれれば、
後々、猫が増えてしまって問題になることもない。
収拾がつかなくなる前に手を打っていただけると、
本当はとても助かるのです。」

とお伝えすれば、

「猫がお腹を空かせて可哀そうだと思うから餌を置いているだけです。
そんなことまでうちでは出来ません。」

と返ってくる。

「では、新しい猫が現れるようになったら知らせていただけますか。
その猫をそのままにしておけば、また増えていく可能性がありますから。」

と、一歩下がってお伝えすれば、

「うちは夜の仕事で忙しいので、昼間は寝ています。
猫が来る度に連絡するとか、そういうことは難しいです。」

と返ってくる。

 

こういう方は結構いるのではないかと思います。
餌を与えることしか頭にない方に、
餌やり以外のことで協力を期待しても、
無駄だということです。

面倒くさいんでしょうね。

 

 

 

★サビ猫の魅力◆

 

私にとっては初めてのサビ猫の保護でした。
サビ猫は好き嫌いの別れる色柄だと聞いていましたので、
保護時はサビが3匹(はみ、てん、ひめ)もいて、
少々の不安はありました。

「もしかしたら、人気がなくて貰い手が見つからないのでは?」

しかし、保護してみると、なんともまあ可愛らしいこと。
色の出方がめちゃくちゃです(笑)。
成長するにつれ、シマの部分が突如現れたり、
ベージュの部分の色合いがはっきり目立ってきたり。
サビ猫はユニークで独特、唯一無二の色柄だと言われますが、
本当にそうだと思いました。

 


サビ猫のはみちゃん。

 

 

 

★保護猫への責任★

 

今回、私が一番痛感したことです。

ルルちゃんはお金がかかる猫だということは
前のブログで書きました。

 

あのまま保護せずに放っておけば、
ルルちゃんはもしかしたら、
もうこの世にはいなかったかもしれません。

保護した時点では、そこまで腎臓が悪いとは思いませんでした。
脱水症状を改善すれば、食べるようになれば、元気になる、
そう思っていたので、リリースせずに保護したのです。

しかし現実はそうではなかった。

まだ1才になったばかりのルルちゃんは、
これから死ぬまでずっと、薬を飲み続け、
定期的に採血による検査を受けながら、
療法食を食べて生きていくのです。

 

猫を保護した、病を患っていることがわかった。
でも、「無理、お金が続かない!」と
放り出すことなんて私には出来ませでした。

 

ルルちゃんはとても可愛い子。
治ることのない病だとしても、悪化を食い止め、
出来るだけ長く生きて欲しいと思っています。

 

もしも、バトンタッチする里親さんが見つからなければ、
私がルルちゃんの一生の責任を背負っていくことになります。

 


初期腎不全のルルちゃん。

 

 

 

2年前の夏、NGさんが保護したじゅんちゃん

 

「うちには飼い猫1匹がいてそれが限度、
保護してあげたいけれど出来ない。」
と言うNGさんに救いの手を差し伸べて下さったのが、
もうすぐ80才になるNおじさまです。

預かりのはずが、情が移ってしまい、
じゅんちゃんを手放せなくなったおじさまは、
ご自身でじゅんちゃんを飼うことにしました。

「俺にも最悪時はくる。そうしたらじゅんちゃんを頼むよ」
とおじさまには言われています。

そのような事態になった時でも、
NGさんはじゅんちゃんを引き受けられないでしょう。
離れて暮らす、おじさまの2人の娘さん御一家が、
じゅんちゃんを引き取って飼って下さる可能性は低いと思います。
そうなると、私がじゅんちゃんの命を引き継がなくてはならない。

 

2015年夏まで、家の中で猫を飼うのは絶対にダメと
家人に言われていました。
時間をかけて世話をしてやっと室内に入れ、
飼い猫として認めてもらった猫、
くりことこまつが我が家にはいます。
怪我をしていたので庭から保護したトントンもいます。
庭には、ニャースとくららの地域猫もいます。

そこに、ルルちゃん、そしていつの日か、
じゅんちゃんも加わるかもしれません。

もし私に何かが起こった場合、
家人にはとても全ての猫の世話はできません。
また、残った猫の世話をしてくれるような人間は、
私の身内、親族には誰もいません。

私はもうこれ以上、猫を抱えるわけにはいかない。
今の状況ではもうこれ以上の命の責任は負えないんです。

 

自分が死んだら、飼い猫と保護猫は、
誰かが何とかしてくれる?
自分が責任を持つ覚悟で関わってきた猫達です。
私は、自分亡き後、他人に迷惑をかけたくない。

 

すぐに貰われていく可能性の高い、
乳飲み子、子猫は例外として、
自分で猫を保護することはもうやめようと、
今は思っています。

思っているだけではなく、本当にやめるべきなんです。

 

 

 

 

The End.