前回のお話。
2021年2月11日のブログ
ねこ藩城下の猫たち:⑩トントンを知る(3)。

ねこ藩城下の猫たち:⑩トントンを知る(3)。

 

鳴くことによって、
トントンが訴えていることは何?

 

観察して理由を探り対処したところ、
トントンの要求鳴きは劇的に改善しました。

 

 

 

①「フードが足りない」ことに対する不満

ダイエットが必要な飼い猫2匹の食事内容と一緒ではまずいので、
トントン用に別メニューを用意。量も増やしました。
食べ過ぎて肥満が心配と思える程の爆食いはしない猫ですし、
フードを残すこともあります。
食後しばらくして鳴く場合は、ほんのおやつ程度のフードを追加。
腹が満たされると、トントンは鳴かなくなります。

 

②「外が見えない」ことによる不満

トントンの視界を遮るような状況を極力作らないようにしました。
勝手口の網戸は普段閉めていますが、トントンが鳴き出せば少し開けます。
お決まりのルートを静かに歩き回るようになりました。

 

③「運動が足りない」ことによる不満

狩猟本能を満たすような運動をさせる為、
短い時間ですが、相手をしてあげるようにしました。
廊下でボールを転がしたり、じゃらしを上下左右に動かすことにより、
追いかけて走る、飛びつく、獲物(おもちゃ)を抑え込み咥える。
撫でたりしっぽのつけ根を軽くポンポンして、
獲物をしとめた行動を褒める。

 

 

「空腹な上に運動不足で窓の外が見えない」といったように、
鳴く理由がミックスしている可能性もあると思いますから、
トントンが鳴く度に、上記①②③の方法を試してみました。
その結果、トントンは鳴き止むようになりました。

 

 

動物園のクマやトラが檻の中で行ったり来たり。
これは前回のブログでも書きましたが、
生活環境に対するストレスからくる常同行動と言います。

 

 

2年半の外生活から、室内暮らしになり、
トントンにも、生活環境の変化に対するストレスはあるでしょう。

手厳しくあまり友好的でないメス猫が2匹いる上に、
テリトリーがぐんと狭くなり、しかも自分だけのテリトリーがない。
室内を歩き回るのは、その常同行動だったのかもしれません。

 

 


保護後、最初の頃は孤立していたトントン。
猫同士の相性だけではなく、私の配慮のなさも
トントンが孤立する原因となりました。

 

 

 

 

 

私にも反省するべき点があります。

 

3匹に対する私の意識は、
買い猫2匹と保護猫1匹というふうに、
最初からハッキリと分かれていました。

トントンがこまつを追い詰めたり、
バトル(遊びの類)を仕掛けようとして、
こまつが「ギャー」と鳴く度に、
トントンに大声で怒ったりしました。

 

うちの可愛い子達に何するの。
この子達は大切な飼い猫、
あなたはいつか卒業する保護猫。
居候の見なんだよ?

 

性格悪いな。
シンデレラの継母といっしょだよ。

 

 

 

私達人間は、言葉による説明で物事に納得したり理解したりしますが、
動物はそれが出来ない分、とても敏感なセンサーを持っています。
目、耳、鼻を使い、空気の流れを読み取っています。

 

飼い猫に対して話しかける声、飼い猫を見る目、
飼い猫に触れる手、そして飼い猫への気持ち。
それは、明らかに自分に対するものと違っていると
トントンは感じとっていたのかもしれません。
ずいぶんと淋しい思いをさせてしまいました。

 

 

 

 

 

トントンを保護して約1年と3ヵ月。
トントンときちんと向き合うことをしなかった最初の半年。
その時間を取り戻そうとして、色々とトライし、
今はトントンと良好な関係を築けているように思います。

 

「自分に気持ちを向けて欲しい」
「撫でられたい、優しくされたい」
常にそう思っているような猫ですので、
よく話しかけ、よく触れ合っています。

 

現在のトントンは鳴きません。

 

 

というと、語弊があるかな。
もちろん、猫ですから、鳴きはしますが、
それはスタンダードな飼い猫程度のもの。

家人曰く、
「ここ数日、トントンはあまり鳴かないねえ。」
なんて日も増えてきました。

 

そうなんです。
ほとんど鳴かない日もあるんです。

 

 

 

 

キッチンで夕ご飯の用意をしている時は、
私の足元でそわそわして、鳴いていますが、
それは飼い猫2匹も同じです。

 

全く鳴かない猫を飼っていらっしゃる方もいると思いますが、
ご飯の前に「早く早く」と鳴く猫は多いのではないでしょうか。

 

トントンの「要求鳴き」に関して、
数日間、トントンの記録をとってみましたが、
鳴く頻度も、鳴き続ける時間も、鳴き声の大きさも
特に問題があるとは思えませんでした。

 

 

 

同時に、飼い猫のくりことこまつについても記録しました。
この2匹は「うるさい猫」というわけではなく、ごく普通。
3匹を比べてみましょう。

 

 

 

大きな差が見られない。

 

 

 

くりこは、空腹の時、トイレが終わった時などは、
「ギエーゥ、ギエーゥ」という変な声を発しますし、
あまり構わないでいると、こちらの作業を邪魔しながら、
「ウェ~」を繰り返します。

 

こまつは、構ってもらいたい時や注意を惹きたい時、
私の腕や足を噛んだり、爪をたててきたり、
時には私の顔にまで手を伸ばして、
「ニャアニャア」延々と鳴いて訴えます。
場合によっては、わざと変なところにうんこをします。

また、飼い猫2匹は、壁や家具で爪とぎをしようとしたり、
コートのファーの部分をかじったりむしったり。
食事の前に、毛がごそっと抜ける程の、
取っ組み合いもたまにやっています。

 

寝室のクローゼットを閉め忘れた時など、
中に入り込んでカーペットの端っこを噛んでボロボロにしたり、
吊るしてある服を引っ掻いたり、毛だらけにするのも飼い猫2匹です。

 

 


すごい邪魔。

 

 

それに比べてトントンはと言えば・・・。

 

きちんと爪研ぎ段ボールを使って爪研ぎをしますので、
壁や家具にダメージを与えることはありません。
クローゼット内を荒らしたりしません。
トイレの失敗もわざとらしい粗相もありません。
仲間とじゃれ合いたくて、近寄っていくだけです。

 

 

いい子です。

 

 

 

こまつのお尻に噛み跡があった事件。
トントンが逃げようとするこまつをガブリとやったと、
私は決めつけていましたが、くりこがやった可能性も高いです。
それ程、おばさん2匹の取っ組み合いは激しいし、
くりこは怒ると噛みつきますから。

 

生ゴミが漁られていた事件。
あれも、トントンが率先してやったことではなく、
こまつの行為が導火線だったのかもしれません。
キッチンのシンクまわりを自分のテリトリーにしているこまつは、
しょっちゅう生ゴミのボックスに顔を突っ込んでいて、
時には生ゴミの袋を床に落下させて、中を漁ることがあります。

 

 

トントンの性格もわかってきています。

 

猫に対しても人に対しても比較的友好的な方です。
ただし、他の猫の性格にもよりますし、
人というのは、今のところ、私と家人限定です。

 

ボディコンタクト(和製英語で言うスキンシップ)を好むので、
撫でられたりするのが大好きですが、
膝の上に乗ってくるタイプではありません。
ひょいと持ち上げて抱っこすると、
気持ちよさそうにしている時もありますが、
たいていは15秒もすると、
「ちょっと放してよ~」と身をよじります。

 

額をくっつけあったり、頬ずりしたり。
お腹や背中に顔を寄せたり、擦ったり。
そういったボディコンタクトは。
「待ってました!」とばかりの大歓迎。

 


私だけでなく家人にも心を許しています。

 

 

 

トントンは、人と一緒に寝られる猫です。

私のベッドで寝ていることが多いですが、
先にトントンがベッドで寝ている時、隣りに横になり、
トントンに顔をくっつけて寝ても全く全然大丈夫。
というか、むしろ、そういう風にされるのが好きなので、
ゴロゴロ、キュルキュルと、手のグーパーが始まります。

 

トントンが自分専用のベッドに入って寝ている時、
毛布をかけたり、背中を擦ってあげても、
ゴロゴロ、キュルキュル、グーパーです。

 

私はたまに夜の睡眠時間が足りないことがありますが、
そういう時は日中どこかの時間帯に小1時間程仮眠をとります。
前はくりこが一緒の布団に入っていましたが、
今は、くりことトントンが私と並んで入っています。

(くりこはトントンと寝たいわけではなく、私とだけ寝たいのですが、
トントンが「「ボクも~」と割って入ってきてしまうので、
仕方なくそうなっているわけです・笑)。

 

話しかけられただけでもゴロゴロ鳴り出し、
私の足の横にぴたっと並び、一緒について歩くか、
パタンと床に寝転がりくねくね、あるいはヘソ天になります。

 

 

「トントン?」「何してるの?」「外見たの?」等、
顔を近づけて優しい声で話しかけると、
トントンの気分によって返事が異なり、
様々なバリエーションがあります。

 

機嫌がすごくいい時 → 甲高い「うっきゃん!」
機嫌がいい時 → 甲高い「わん」
そうでもない普通の時 → 「ん~」(ほとんど口を開けない)
うるさいなぁと感じているらしい時 → 低めの音域の「んうわぁ」
感心のない時 → こちらを見さえしないガン無視

 

空腹を訴える時も、こちらの状況によって違う鳴き方です。

私が支度を始めようとしている時 → わくわくの「わん!」
私が支度をしている最中 → 早く早くの「わーん、わーん」
私が他の作業中の時 → イライラの「うががが~」

 

毎日接していると、とてもわかりやすい子だと思う。

 

 

頭や背中を撫でられるのを待っている時は、
キラキラした顔つきでこちらを見上げています。

 

 

いい子なんです
(本日2回目)

 

 

庭にいた時代、子猫が母猫のお乳を探すように、
ポッちゃん(♂)のお腹に顔を潜り込ませて、
べったりくっついていました。
また、血縁猫(多分)のくらら(♀)と、
顔をくっつけ合って寝ていることもありました。

トントンは仲間意識が強いというか、
一緒にいてくれる存在が欲しいのだと思います。

 


手前がポッちゃん、後方にトントン。
大人の成猫2匹がぎっしり詰まっている。

 

 

 

この子を庭に戻す、戻さないって、
どの口で言っていたんだか!

 

結局、鳴き止まない猫ではないんだし、
慣れない触れないの家庭内野良とはほど遠い。

 

 

何かのめぐり合わせで我が家の庭に辿り付き、
すんなりと捕獲器に入り、TNR後も当たり前のように
庭に定住してくれた。

 

 

 

仲間たちと仲良く過ごし、人にもすぐに慣れてくれた。

 

 

最初、鳴きはしたけれど、室内の生活を受け入れ、
人間からの愛情を求めて、甘えてくる。

 

 

 

 

 

こんないい子を外に戻せるわけがない。

 

 

「野良猫を卒業して、室内で人と一緒に暮らす猫になる」
という運命を持って生まれてきた子なんでしょう。

 

 

 

To be continued・・・