前回のお話はこちら。
2018年7月26日のブログ

つい先日、市議のKさんご夫妻の保護猫コリーナと一緒に、
里親・Aさんに貰われていった黒猫リン。
リンは駅北側にお住まいのIKさんが2018年8月に保護した猫です。

 

 

 

IKさんは自宅付近ににたくさんの未不妊の野良猫がいることに心を痛め、
2017年春からご自宅の庭に捕獲器を仕掛けて、少しづつTNRを始めました。
TNRの傍ら、子猫やまだ若い成猫を次々と室内に保護して、
里親さまとのご縁を繋げて来ました。

 

TNRを始めた当初、リリースせずに飼い猫にしたキジトラのしおん
そのしおんのきょうだい・そらが長らく外にいましたが、
2018年5月にそらも室内に保護しました。
そらの保護からもう1年が過ぎましたが、
そらはおとなしくて手のかからない成猫でも、
ほぼ家庭内野良に近い状態にあるので、
なかなか里親希望者さまからの問い合わせがありません。

このままそらを飼い猫にしてもいいのですが、
やはり、IKさん宅には、しおんの他、ビビちゃんという、
あまり他の猫が好きではない飼い猫がいますので、
そらだけを可愛がって下さるご家族がいれば、
その方がそらにとってもいいのではないかと
IKさんは考えて、里親希望者さまが現れるのと
気長に待っています。


本当のきょうだいだけあって、仲良しのしおんとそら。

 

 

 

IKさん宅付近のTNRもひと区切りついた・・・と思っていた頃、
IKさんは、新しい、耳カットのない猫達を見かけるようになりました。

探ってみると、IKさん宅からひとつ向こうの路地に、
猫2家族が済んでいることがわかりました。

 

母猫2匹のうち、キジトラのアナは、
IKさん宅からそう遠くない場所で、
もう何年も個人でコツコツとTNRと保護を続けている、
ボランティアの西野さんがTNRを済ませていました。
残りはもう1匹の黒い母猫です。

 

 

 

IKさんはお休みの日に、その小さな静かな路地に出向き、
住人の方々に話を聞きました。
数軒のお宅と集合住宅にお住まいの方々が、
猫一家にご飯をあげて、可愛がっているようでした。
ご飯をあげて猫達を見守って下さるのでしたら、
地域猫として猫一家はこの路地で暮らして行けそうですから、
あとは不妊手術だけ…と当初は思っていました。

ところが、一戸建てにして5軒、集合住宅3棟、
世帯数にして15.16世帯のひっそりとしたその路地の、
たった1軒のお宅だけが、猫の存在を許さないのです。

 

【路地マップ】
F・・・ご飯をあげている
H・・・寝床を用意している
OK・・・猫一家に好意的
★・・・猫嫌い

 

 

通常、10名のうち賛成が9名、反対が1名ならば、
賛成派の意見が通るのが多数決の決まりです。

残念なことにこの路地で、その多数決のルールは
全く当てはまりませんでした。
猫嫌いの1軒の存在に、他の住民の方々怯えている、
という印象を私は受けました。

猫にご飯をあげているという2世帯の方からお話を伺った時、

「猫達を可愛がっているのでしたら、
糞尿の始末、掃除等、近所を衛生的に保つことを条件に、
その猫嫌いのお宅を皆さんで説得してみたらいかがですか?
野良猫対策として、市では地域猫活動というものを進めています。
県の動物愛護推進委員さんも説明に来て下さいますし。」

 

と言い終わるや否や、寝床を用意して下さっているお宅の方から、

「どうかあのお宅を刺激するようなことはやめて下さい。
もめることは困るんです。何もしないでそっとしておいて下さい。
私達がもう餌やりをやめればいいだけの話ですから。」

と、予想外の答えが返ってきました。

伏せた目に、消えそうな涙声。
肩を落として、諦めたような口調でした。

 

 

実は、IKさんが2017年春にTNRを始めた頃、
付近の猫状況を知ろうと、私はこの路地に足を踏み入れていました。
その時、偶然、玄関前で靴磨きをしている年配の男性に会いました。
1本向こうの通りでIKさんという方が野良猫達の不妊手術を始めていて、
あとどのくらい猫がいるのか見て回っているとお話しすると、
靴磨きの手をとめて、家の中から出てきた奥さまと一緒に、
話を聞いて下さいました。

「ああ、そうでしたか。ご苦労さまです。」

と、私を歓迎するかのような対応で、
社交的なご夫婦という感じでした。

 

「この路地にもよく猫がやってきていてね。
うちの庭はもう何年も糞尿被害がひどいんですよ。
ついでに、ここの猫達の不妊手術もしてもらえないかしら。」

私は、IKさんは自己負担で行っていることをお話しし、
この路地でTNRをするのであれば、
住民の方々で少しづつお金を出し合って費用を作り、
野良猫に良心的な価格の病院に手術をお願いすることを
おすすめしました。

しかし、自分達がお金を出さなくてはならないと知った時、
それまで、「これはいい人が来た!」みたいに歓迎ムードだった、
ご夫婦の表情はがらりと変わってしまい、
「え~うちが? それじゃ困るわ。」
と言って、奥さまは家の中に入ってしまいました。

 

そんなことがありましたが、
費用の面でご協力はお願いできないとしても、
偏屈で頑固者の威圧的なご夫婦という印象はありませんでした。

 

話し合えば何とかなるのではないかと、私は思っていましたが、
猫にご飯をあげているお宅の方々は、どうしてなのか、
とても気弱で、猫嫌いのご夫婦にビクビクしていたのです。
外の猫にご飯をあげることに罪悪感を感じていたか、
あるいは、性格的なものかもしれません。

 

 

IKさんは、猫嫌いのご夫婦が、庭に入ってくる小さな猫達に、
水をかけているという情報を得てきました。

その「猫に水をかける」というやり方で、
猫を追い払っている方々は多いようです。
真冬など、何もそこまでしなくてもと思いますが、
猫避け対策の一環として、
「水をかけること」を進めている行政もあるのです。

 

 

いくら可愛がって下さる方達がいたとしても、
子猫にまで水を浴びせるような人がいる場所に、
猫一家を置いておきたくない。

IKさんは、既にTNR済みのアナを除いた全頭を、
保護することに決めました。

 

路地に通って、話を聞き、猫を確認すると、
捕獲しなくてはならない猫は、母猫1匹、子猫6匹。
合計7匹になることがわかりました。

 

 

★保護予定の猫達

 

 

 

 

 

 

IKさんは会社員です。
平日は朝から夜まで仕事で留守にしていますから、
捕獲作業は週末に限られてしまいますが、
IKさんは、休みの度に現場に通い、
少しづつ、着実に捕獲作業を進めていきました。

 

 

To be continued・・・